2011年10月アーカイブ

文芸批評家の服部達氏については断片的にしかしらない。安岡氏の作品では『遁走』が世界3大兵士小説にはいるのではないか。病兵小説という分野があるとしたら断トツだ。鋭い感覚とユルキャラの並存が魅力だ。世界文化社からでた『忘れガタミ』という作品集を読んだ。既読の文章も多かったがそれでも楽しかった。そのなかで「芥川賞前後」と「遠藤周作の世田谷時代」に微妙な違いがあるのに私は気づいた。昭和30年前期の芥川賞を受賞した 遠藤周作氏は新橋のなだ万(たしかオーナーは灘中同期)で作者主催の受賞パーティーを催す。そのランチキ騒ぎのなかで評論家・服部達は前者では 「いまが、『第三の新人』の花盛りだな」といった。しかし後者では「おお、いまは『三田文学』の花盛りだなぁ」といっていた、と記述されている。 数詞はいずれも3だが、だいぶ意味合いが違う。別に私は違いの指摘が大きな意味を持つかは判断できないが、例えば故大岡昇平氏もこのような指摘が 嫌いではなく知友の安岡氏もそんな行為を不快に感じない方だと勝手に思っているので記してみた。さらに私の失礼な推測を述べると中里介山の甥はともかく京大出身の服部の独語は「三田文学」が正解。前者はより汎社会性を帯びた言葉への安岡氏の記憶の微妙な遷移であろう。
ご多忙のなかの訪日、ご苦労さまです。さて、沖縄の基地なのですが、貴国との合意が日本側の政権がほぼ60年ぶりに替わったことにより履行が難しくなりました。私は一民間人として、まったく新しい独創的な解決策を提案いたします。新基地は索敵情報能力を主眼として飛行艇基地とする。このこ とにより自然破壊も飛躍的に減少いたします。また長年現地住民が苦しみ続けたジェット機による騒音も減少します。自由陣営は数千キロメートル以上の長い警戒機能を得ます。それはステルス化が急速にすすむであろう対象国の艦船の行動を視認できる機能を保障します。幸運にも日本は貴国にきわめて長い航続距離をもつ最新式の飛行艇を提供できるのです。これ以外の解決策は政治情勢の変化からきわめて難しい多元方程式を解くようなもので現実には存在しません。違約がわが国に原因があったことは事実なのです。しかし両国とも無理に自国の立場に固執することはまったく共通の利益を激しく損なうことになるでしょう。長官閣下におかれましてもぜひ私の提案をご検討くださるようお願いいたします。
警察庁が自転車の歩道走行を原則禁止するとのことだ。きわめて重要な判断だ。むかし東京都のゴミ袋が清掃局の判断で黒のビニールになったことがある。重要度はちがうがそのときも都議会はなんの関与もしていなかった。国民生活におおきな影響をおよぼす今回の決定だが議会は関与不要なのだろうか。どのイッシューをどの機関が議論し決定するのであろうか。民主主義政治の根幹のことではなかろうか。
スウェーデン並みの社会保障を消費税5%でやるのは無理のきわみだ。しかし同時に消費税改定なら財務省主計局の抜本的改革が必要だ。とくに厚労省 なかんずく旧労働省関係の査定をまず徹底的に改める必要がある。風呂水をためようとして水道の蛇口をゆるめても風呂の栓をあけっぱなしにしている のだから貯まるわけが無い。主計局こそ日本にとって死刑局になっているのだ。主計局の廃止かシステムの根本的やり直しが急務だ。
戦前・戦後の日本の政治史で対比される対象を欧米先進国にするのはやや不毛かもしれない。むしろメキシコやコロンビアなどがよい。とくにコロンビア共和国の歴史はおもしろい。民主主義はおおむね貫徹されているのだが、先住民やアフロ系住民は無視されがちだ。自由党と保守党の2大政党の争い の歴史はすさまじく、政党間で軍艦の砲撃戦さえある。パナマの分離独立はまさに『漁夫の利』つまりハマグリとシギの争いそのままで、漁夫である米国の一方的勝利だ。政治の影の主役のひとつ暴力もおおいに参考になる。真面目に言うが暴力こそ日本人の音痴部門になっているのだから考察 が必須でコロンビア以上のサンプルをさがすのは難しいくらいだ。先日紹介した『コロンビアを知るための60章』で共著されている法政大学の久野量一教授が文化人類学者のマイケル・タウシッグの本『法なき土地における法』を紹介しているが邦訳が望まれる。さらに日本にとって参考になるのは同書112ページあたりの1990年発足のガビリア政権の憲法改正の「手口」だ。制憲議会選挙を挙行したのだから、これは参考になる。 ここの部分は拙ブログの先日の稿の補遺である。あわせてお読みいただきたい。なお編著者の二村久則氏は名古屋大学大学院教授です。訂正してお詫びします。

過去原稿:コロンビア共和国の歴史に学ぶ



コロンビアを知るための60章 (エリア・スタディーズ90)
ある関東地方の産院を経営なさっている医師にお聞きしたのだが、医療過誤保険の支払いが年間約2000万円とのことだ。実はアメリカをおっかけて分娩のさいの医療過誤の訴訟が増え補償要求金額も億円台のケースもあるというから必要経費になっているのは必然だ。年間500人強ほどの分娩があ るようだから保険単価は約4万円弱である。産婦人科にすすむ医師の数の低下が目立ち新規の産院の開業が減っているのも裁判官の時流に乗った補償金 額の増額認定に原因のひとつがあるのではないか。一工夫がなんとしても必要だ。
普段から前提を排除した議論が好きだったのだが。アゴラというブログ・サークルの『金融日誌』で藤沢数希という方が男性と女性の年金支給開始に差をつけることを提言されている。理由の一つが平均寿命が男女できっぱり10年違う事だ。私は以前から指摘されていた専業主婦の年金の不平等感の是正に もおおいに裨益するものと考える。これは目からうろこである。ただし、長年自身で積み立ててこられた女性の支給開始を遅らせることには反対することを付言したい。
核拡散防止条約こそ不平等なものはない。しかし100ヶ国以上が核武装したら想像を超える事態になろう。だから各国は暫定的にこの不平等を認めているわけだ。この壊れやすい体制を守るものは核保有国の自制であり、道義心であることは当然のことだ。しかるに漁船を意図的にぶつけてきて勝手に 憤激し武力の行使をあからさまに脅迫する国がある。さらに自国の大統領選挙を自分に有利にするために爆撃機を周回させて挑発し抗議を待って政治問 題化させようとする愚か者がトップにいる国がある。NPT体制を崩壊させる原因を自らつくりだす行為で遺憾にたえない。
次期の主力戦闘機(FX)の商戦が盛んになってきた。米国の2機種とEUの1機種がおもな対象だ。本来なら国産機の開発が当然決定されるべきだ が、アメリカの過去の執拗な干渉でその能力を意図的に伸ばしえなかった。パパ・ブッシュは日本とイスラエルの自主的な戦闘機自主開発を潰した。こ れもあずかっておかげで再選の芽をみずからなくしたが、これは米国のユダヤ系市民の隠然たる実力を示すものだ。日本はまったくそのような影響力を 有していないが、せめて日米安保の影のマイナス面を認識しておきたいものだ。
山本七平の名著『空気の研究』(文春・1997年版)のなかに「指導者の条件」という文章が載っている。そのなかで当時の長島監督の言語による説 得力の乏しさを論じている。たしかに擬態語の多い長島さんの話し方はやや心もとなかった面もあったに違いない。先日退団をきめた落合監督も言語能力は対マスコミでもいかがなものだろうか。ただし彼の実績はだれしも否定できない。彼の統率は言語による以外になにがあったのだろうか。彼のリー ダーシップの秘密は興味深い日本人論の一つになる可能性を秘めているのではないか。

「空気」の研究 (山本七平ライブラリー)
山本 七平
文藝春秋
売り上げランキング: 300772
憲法改正より制憲議会選挙のほうが現実的ではないか。現行憲法の改正規定は改定させないための規定といってもいい。60年以上前の異常な時代の制憲議会が正しくて新しい次前にきめられた制憲議会による憲法が不当だというのは理屈にあわないのだ。なお、この発想はコロンビア共和国の1990年の史実から得た。
韓国が怒りを内攻させているのだろうか。韓国大統領と玄葉新外相の会談は問題なかったようだが。国連での従軍慰安婦問題の蒸し返しの可能性はどう理解すべきか。私の推理は松本前外相のKAL機への対応が怒りの原因というものだ。KALの件というのは超大型機を導入した同社が竹島へデモ・フライトを実行した事に松本外相が日本公務員の搭乗を制限した一件だ。実質的影響は限りなくゼロに近い。が、問題は松本氏が伊藤博文の曾孫(玄孫?)ということだ。なにせ日韓併合条約を調印した一派の子孫の財産を没収する法律を制定し実施するお国柄だ。強制占領という主張との整合性などお構いなしだがそこらへんは「空気」が全てを飲みこむ日本以上の国のようだ。わが国が妥協に妥協をかさねても、国に殉じた兵士への鎮魂が 許せない、というのなら行き着くところに行くしかない。この問題に妥協はありえない。私はそう思う。
「もったいない」を国際的に通用させたケニアのマータイさんは婦人たちの炊事のためのたきぎ拾いの労苦に心をいためていたという。もったいないというなら日本の薪炭産業は死滅状態で薪になる木材はまったくといっていいほど放置されている。原料炭が1トン3万円の時代になんとももっ たいない。樫の木など伐採して電気炉で炭にすれば製鉄で使えるはずだ。なんとかならないものか。
明石書店からのシリーズ本で90冊目にあたる。名古屋大の二村教授の編著で良く出来た本だと思う。まずコロンビアの国土の特徴がわかりやすく解説されていて、この国の所与の条件が、3つのアンデス山脈の山筋、したがって川筋が明らかにされる。とても重要だ。私は早田英志著『エメラルド王』 を極めて興味ふかく読んだ。そこで解らなかった点がこの本で解りだした。まずスペイン系の支配階層がいる。反体制ゲリラのFARCとは人種的に異なりそうだ。それと敵対するパラ(準軍事組織)の下級兵士はアフロ系も多そうだ。長く続きすぎた2大政党制がこの国の病いを重篤にしたことがこの本で明かにされている。政治学の実地の本としても有益だ。メキシコは制度的革命党の単独支配が飽きるほど続いたわけだが、その対比があればおもしろかっただろう。5000万人の人口を持とうとしているコロンビアはもっと日本人が注目していい国だ。その意味でも本書を歓迎したい。

コロンビアを知るための60章 (エリア・スタディーズ90)
エメラルド王
エメラルド王
posted with amazlet at 11.10.04
早田 英志 釣崎 清隆
新潮社
売り上げランキング: 53334
取り締まり当局の規制は必要なのだろうが、対象者が憲法のらち外にいるとは思えない。がっちりした規制の枠を法律で定めそれを厳格に実行すればよいのではないか。相撲や格闘技をおおぴらに見ていけないなら皆が納得できる理由を提示すべきではないか。
日本領土で不法占拠されていたり、されそうな場所を射爆場に用途を指定してはどうか。我が領土なのだから遠慮は無用だ。必要に応じてはその目的に使用すればよい。
9月27日の読売新聞夕刊1面に気仙沼の陸上に放置された大型のまき網漁船の写真がおおきく載っている。三陸のいのちの綱である漁船の放置。これこそ菅前政権のモニュメントそのものではないか。無為無策バカヤローと叫びたくもなる。自民党時代の「わたしの仕事館」とともに行政遺跡として永久保存したいものだ。
エルピーダ・メモリは数少ない半導体メーカーだが、生産は台湾だ。なぜ日本国内で生産できないのか。円高もあろうが電気代の高さ、祝祭日の多さ、 「現地人」の素質、なにが大きな問題なのか。経産省も真面目に検討し対策に何が可能なのか結果を公表すべきではないか。造船はへたれるしじっさい 次の世代の日本人はなにで食べていけるのか。

ブログ村

にほんブログ村 政治ブログ 政治評論へ
プロフィール

検索

翻訳

月別 アーカイブ

お気に入りリンク

邱永漢(きゅう えいかん)のブログ
池田信夫blog
米流時評
高橋和夫の国際政治ブログ
太田述正のブログ
原田武夫のブログ
岡崎研究所
天木直人のブログ
本質
YukikazeのBlog
ジャパン・ハンドラーズ

2017年1月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

AD