かなりの傑作である。作者もそう思っていると推測する。私が小学生(以前?)の時の記憶で鳩山一郎首相の背の高い角ばった顔立ちの秘書が脳溢血で体の不自由な首相の介護をしていた。その方が健在で作者のインタビューに応えている。
本書の構成だが、第1章に鳩山邦夫氏の話が30ページ近くあるのは疑問だ。新書の性格をどう見るかだが、私は第2章の家系史から始めるべきと思う。明治維
新は、東京という血のシェイカーを造った。その意味は藩体制で血が交じり合わなかった封建時代の各地の人々が上京して通婚したということだ。鳩山家は岡山
の父系と女系で長野と石橋家の北九州がある。長野は頑張り屋だが、ちょっと無理しすぎで偽善的と批判する向きもあろう。北九州は石橋正二郎の妻・昌子のエ
ピソード(本書247ページ)やその娘・安子に関する元秘書の上杉隆氏の証言の通り心を洗われることも多いようだ。勿論一般論であって個々人によっては逆
もあろうが。で、現首相だが、厳しい父の不在が認められる(私の見方)。作者の佐野氏は母子の関係の異常さから化け物の家族・アダムスファミリーに例えて
いるが、私はむしろ父方の相当なだらしなさが失礼ながら由紀夫氏に凝縮されているのだと推測する。現時点でもしおらしく謝っておけば、私のことだから人気
は回復すると思っていいるのではないか? 本当にある種の怪物である。本書は保守合同の際の保全経済会の伊藤斗福のエピソードなど読みどころは多い。読ん
で損はない。

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