『戦場からスクープ』は本年度翻訳書ベスト1候補だ

M.フレッチャーの書いたこの本は、おもしろい。戦場カメラマン本は数多いが、一味ちがう。米国NBCの下っ端からエミー賞5回受賞などの大物特派員になるのだが、親の出自はバルカンのユダヤ人で英国に亡命し1947年にロンドンで著者が生まれる。BBCを経てNBCでイラン革命、ポーランド連帯、キプロス、ローデシア、アフガンを取材する。テル・アビブ支局長として、コソボ紛争を報道するが、昔ユダヤ人を助けたセルビア人を非難し、迫害したクロアチア人を結果として支援する報道をせざろう得なくなる。そこらの葛藤が興味深い。インティファーダ報道にもユニークな報道姿勢を貫くのだ。ルアンダの西欧批判も妥当だ。戦後史の目撃者はまた自分史も容赦なくさらけだしている。買って損はない本だ。
戦場からスクープ!―戦争報道に生きた三十年
マーティン フレッチャー
白水社
売り上げランキング: 32594

出典:AMAZON
内容(「BOOK」データベースより)
地雷原を駆け抜けた戦争特派員の手記。
出版社からのコメント
《「戦争特派員」という生き方》
本書は、アメリカ三大ネットワークの一つ、NBCニュースのテルアビブ支局長が、その三十年にわたる特派員生活を、負の側面も含めて包み隠さずありのままに綴った回想録である。地雷で吹き飛ばされる同僚、餓えに苦しむ子供たち、自爆テロの凄惨な現場を目の当たりにして、葛藤し、逡巡しつつもカメラを回し続けた。その一方で、死が目の前にある戦闘の取材で快楽にも似た高揚感を味わい、視聴者に強烈なインパクトを与えようと、ときにセンセーショナリズムすれすれの報道も厭わなかったと吐露する。
本書はまた、恐いもの知らずの青年カメラマンが、戦争という異常事態のなかでさまざまな体験を積み、やがて冷静沈着なジャーナリストへと成長していく物語でもある。まだ駆け出しだった頃、砲弾飛び交うゴラン高原を、戦場ではご法度の目立つオレンジ色の愛車でぶっ飛ばし、アフガンでは険しい山岳地帯をムジャヒディンとともに歩き続けた。まるでスラップスティックを地でいくような若き日の冒険は、戦争犠牲者の取材を重ねるにつれ、悲惨な状況に置かれた者の苦しみや悲しみに対する理解と共感へ変化していく。

本書は、第四次中東戦争から最近のパレスチナ紛争まで、世界で最も危険な紛争地の数々を取材・報道した現役記者による記録であり、現代の世界の矛盾を衝いた問題提起の書である。金平茂紀氏(TBSアメリカ総局長)推薦!
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
フレッチャー,マーティン
1947年、ロンドンに生まれる。ブラッドフォード大学卒業後、BBCを経て通信社ヴィスニュースにカメラマンとして入社。第四次中東戦争、第二次キプロス紛争、ローデシア紛争などを取材した。その後、NBCニュースに引き抜かれ、イラン革命、テヘランのアメリカ大使館人質事件、ポーランドの「連帯」、ソ連によるアフガン侵攻などを取材。82年、テルアビブ支局長となり、湾岸戦争、パレスチナ紛争、ソマリア飢饉、ルワンダのジェノサイド、コソボ紛争を取材するなど、つねに現場からのレポートに心血を注ぐ
北代 美和子
1953年生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


          

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このページは、Makoto Hiroseが2010年4月 7日 18:23に書いたブログ記事です。

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