『ルポ貧困大国アメリカII 』堤未果著を読む

日本の近未来を暗示する衝撃の第2弾、が帯のあおりだ。今回は、民営化された巨大奨学金会社・サリーメイのゆがんだ現状、崩壊する社会保障、医・薬・保複合体の猛威、刑務所産業の豪華4本立てである。多少著者と表記が異なる。貧困本といえば、「女工哀史」や性格は異なるが「職工事情」いまどきの「蟹工船」があるが、読んでいて自分もいつ、というスリリングさがあって一気によめる。父が蔵書していた、茶色のクロス装丁の改造文庫をおもいだす。もう神保町の古書店でもみかけないが。発売から1月で3刷りだから結構な売れ行きである。内容もおもしろい。
奨学金に関しては、日本は公営を堅持して規模を10倍増にすべきだ。第2章の社会保障については若者の不満にも焦点をあたえている。第3章、著者は医産複合体としている。アメリカは私営の健康保険会社が繁栄しており(はびこり)既成勢力として猛威をふるっている。あと製薬会社の献金力、医師の疲弊などの問題点が記述されている。薬九層倍と昔からいわれ、現に九層倍がすぐ表記されるのだから驚く。といって、いわゆるゾロ会社では開発力がなく、新薬の恩寵は望 めない。FDAの係官もからめた「ストロング・メディスン」を思い出す方もおおかろう。日本でも創薬協力会社が何社か上場されている。治験会社といっていい。ここいらのルポも欲しいところだ。この章の感想が迷走しているのは問題の深さからと言っておく。最終章、たしか四国の造船王も囚人を使っていた。民間協力刑務所が日本で4箇所あるから、他人事ではない。ドルを刷りっぱなしにして世界から商品を取り寄せまくったアメリカ人の末路なのだが、なんで日本人が 同じ結末になりそうなのか、そこが問題じゃネ。結論として読んで損のない本でお勧めだ。おなじ岩波で、年配の日本人主婦のアメリカこきおろし本もお忘れな く。

ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)
堤 未果
岩波書店
売り上げランキング: 55
出典:AMAZON

内容紹介
経済危機後のアメリカでは、社会の底割れが加速している。職がないにもかかわらず、学資ローンに追い立てられる若者たち。老後の生活設計が崩れ、絶望の淵に立たされた高齢者たち。いまや中間層の没落が進んでいるのではないか。オバマ登場で状況は変わるのか。人びとの肉声を通して、アメリカの今をビビッドに切り出すルポの第二弾。
内容(「BOOK」データベースより)
経済危機後のアメリカでは、社会の貧困化が加速している。職がみつからず、学資ローンに追い立てられる若者たち。老後の生活設計が崩れた高齢者たち。教育や年金、医療、そして刑務所までもが商品化され、巨大マーケットに飲みこまれている。オバマ登場で状況は変わったのか。人々の肉声を通して、アメリカの今を活写するルポの第二弾。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
堤 未果
東京生まれ。ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士号修得。国連婦人開発基金(UNIFEM)、アムネスティ・インターナショナル・NY支局員を経て、米国野村證券に勤務中、9・11同時多発テロに遭遇。以後、ジャーナリストとして各種メディアで発言、執筆・講演活動を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


          

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このページは、Makoto Hiroseが2010年2月25日 11:10に書いたブログ記事です。

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