2009年10月アーカイブ

概算要求が95兆円を超えたのはすでに旧聞のことだ。省庁の来年度の仕事の見積もりだが、このうちの多くは仕事のための仕事、つまり予算消化のための予算ではないのか。農水省がなくて困るのはだれなのか。極言すると農水省の役人だけではないのか。むかし猫の目農政などといわれたが、それは先見性のなさでもあり、「農政」なるものがないと予算がつかないせいでもあった。予算と成果を考察してフィードバックする国家システムがないから林野庁のように成果ゼロどころか甚大なマイナスを産み出す機関が温存される。こんなのは環境省と経産省の課に変えたらよかろう。1課20名として40人体制だ。予算編成が終わったら、各省に現在の半分の予算でこれだけはしたい、しなければというコア予算をださせるべきだ。それがこの国の実力だ。
JALの赤字が尋常の数字でなくなった。したがって対策も年金の一括払いなど以外の尋常でない方法が必要だ。それはまず数箇所の地方空港にカジノ場を併設し、収益で「国内の空港からの」航空機にかぎり空港利用賛助金を「支払う」ことだ。1回につき30万円の支払いでもいい。成田、関空、羽田の空港利用料は例えば仁川に比して高いから、30万円でハブを代えるかは微妙だろうが、取られるのが取れるのだから大違いではある。空港カジノはアジアでも例がある。街頭で賭博店を放置しているのだからカジノに反対する理由はない。
昭和27年に占領が終わってから最悪の対米交渉は海兵隊のグアム移転に関するものだ。当時の小泉首相は、沖縄での海兵隊兵士の少女暴行事件の対応を県民与論から迫られ、海兵隊の一部グアム移転という結果になる対米交渉をした。米側も動機が動機だけに妥協はしたが業腹さは残り莫大な移転費用の要求を日本に承知させた。しかしそのおおくは将校用住宅の建設を名目にしたものだ。同盟軍の将校の素行にいちゃもんをつけるなら軍事同盟は成り立たないに近い。まして海兵隊は日本のかつての関東軍に似た(はるかに統帥に服するが)若干の気質を有する。もっと真面目に問題に取り組むべきだった。禍根は今に続いている。来日したゲーツ国防長官は、空港問題が決着しなければ、グアム移転に影響すると言明したが、これも彼本来の器量人らしからぬ発言だ。小泉の決断は愚か極まるものだったが、それでもあってはならない事態の再発を憂慮したのは事実である。ゲーツ長官ももし娘さんがいらっしゃるなら、すこしは日本人の気持ちに理解を示せないものか。在日米軍は他国にいるのだ。
就任早々激務を果たしお疲れとおもいます。ただ外交は言葉のゲームでもあります。発言の仕方に一工夫あってもよいとおもいます。最近の「米国の心配は杞憂だ」発言もそうです。語源からいえば、杞の国(古代中国)の人が天が墜ちてくるのではと心配したことを揶揄したのですから相当心配している人を馬鹿にしています。小さなことですが、悪意の解説者はどこにでもいます。できれば、「われわれも誤解されないよう、説明の努力を続ける」ぐらいの表現はいかがでしょう。

過去原稿:岡田外相に苦言
鳩山総理の故人献金について、推理するのが、YUKIKAZEのブログ最新稿だ。私も表に出せない献金者がいて、それは本人とか近親者ではない、と疑っていた。

よく読ませていただく天木氏のブログ最新稿でブッシュ前大統領と小泉元首相が始球式に、という記事がある。加藤コミッショナーの発案らしいがどこまでとち狂っているのか。小泉のブッシュへのポチぶりで日本がどれだけ面目を失ったことか。米国債の異常な購入でどれだけ国民の汗の結晶を毀損したか。
厚労省の医系技官に対する批判が起きている。仲間うちからもある。十数年ほど前の宮本政於氏を思い浮かべる人も多かろう。男女の差はあるが立派な経歴の批判者ではある。私が推量するに臨床体験の有無が同じ医学部出身でも微妙な判断の違いの元ではないか。中央官庁だけでなく、各地の保健所長も臨床体験のない女性(男性もが採用されることがままある。表題のトリアージュとは例えば大規模災害の現場で少ない医者の施術能力の配分法をいう。今度のインフルエンザのワクチンにしても世界での生産量が限られているのだから、金にあかした分捕りは国際的な批判をよびかねない。ただ、これはなんとも難しい判断を必要とする。すくなくとも500万人分を最貧国に寄贈するなどの「修辞」がアバウトに必要だ。
いささか刺激的なタイトルではある。しかし、民主党が党の方針として補正予算の見直しを決定した重みを理解せず「ないものはないんですよ」でゼロ回答は「ない」でしょう。官僚の言うことの九官鳥なら誰でもできる。この方何のために民主党の政治家か理解に苦しむ。国民は農水省をどうみているか。地方振興部門なんか汚吏の養成所でしょうくらいにみられている、例外の方もいると思うが。次官の辞め方もひどかった。戦前は小作問題の解決を目指して官僚の良心の権化みたいな役人もいたようだが。ようするに「ないもの」なんて誰も信じられないのだ。信じさせる実績がないのだ。今後だが、概算要求が全体で95兆円越。民主党寄りの(違ったら失礼)のブログのDAILYPOINT SQUAREの最新稿で政治主導の欠如を嘆いておられるが、同感だ。ダラカン大臣は不要、が私の意見だ。ま、はじめてのことなので予算編成過程で官僚にいいように概算請求を出し抜かれられたのだろうが、お粗末ともいえる。小沢氏も党務ばかりじゃなく肝心のときは指導していいと思う。鳩山総理、どうされますか。
緑の革命を起こした不屈の農学者、という副題をもつ本。1970年のノーベル平和賞を受賞したノルウェー系アメリカ人の主に小麦の品種改良での功績を語る。北欧系の多いのはミネソタ州だがボーローグはアイオワ州の田舎に育った。人類のインフルエンザと小麦の黒さび病は手ごわいところが似た疾病だが、彼は収穫が多く、病気に強い小麦をつくりだした。その過程で重要だったのは日本の農林10号だったようだ。3年まえ高齢をおして東京農大と筑波大で講演したのでご存知の方も多かろう。この本を訳出したのはいい着眼だと思う。小さなことだが250ページにノーマンの性別を疑わせる誤植がある。

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自民党の約60年続いた(少しの例外期間はあるが)政治で日本人はなにを失なったのか。やはり勤勉さであろう。まず農業の減反政策で篤農、精農といった人たちが非常に減少し、見境のない休日増によってサラリーマンにもその気風が及んだ。おろかな人気取り政策のせいだ。アメリカ依存の傾向を矯正することなく、特に軍事上の依存の弊風は根強い。そして国家への誇りは地を払った。戦死者の慰霊の仕方にまで他国の干渉を許すなど言語道断である。同胞に対する侠気と助け合いの精神もうすれた。 前の政体は黒船襲来の恐怖によるエートスが支配した60年(1868-1945)だった。軍事優先でサムライ気分が庶民まで及び戦争という大量殺人も国家の利益の前に抑止される事が比較的少なかった。精神力が強調され、効率的な国家運営が軽視された。自民党政治では軍事はアメリカ依存で経済優先の政策がとられたがその末期には、交通体系の非効率、電気産業の衰退の始まりなど国家戦略の齟齬が目立ち始めた。自民党が政治家の予備軍のリクルートに熱意と工夫をこらさず、二世・三世を大臣に重用し、あとは数合わせ要員として芸能人その他を出馬させた。驕りと退廃のはじまりだ。つぎの60年をどう再構築していくか。民主党の第一次組閣の批判点を指摘しておきたい。鳩山・岡田両氏の歴史観の未熟さ、長妻氏登用のポピュリスト人事、赤松氏の革新をなりわいとするいい加減さ(官庁の代弁を今からするずるさ)、小沢氏の密行主義、いろいろ露呈しはじめたがやはり考えの違う人たちの野合集団という印象は拭えない。なにが契機となるか、たとえば地方参政権問題など、わからないが自民党のボス連を排除した自民の質の高い集団と民主党のナショナリストの結合が望ましい。その反対軸として岡田・菅・労働組合出身者の集団が対抗する構図がここ5,6年のベストではないのか。表題とはやや離れたが、勤勉・精神力の重視・合理性の重視・個の確立がこれからの60年を生きる小、中,高の子供たちの教育方針であるべきだ。そこから我々の失った誇りの復興が始まる。
洋上給油に関する穏便な対応策だ。私のアイデアではない。月刊文春の横田由美子さんが書いた「新大臣、官僚に勝てますか」の123ページ上段で岡田外相が給油を単純延長しないという発言の裏にソマリア沖など海賊対処法による活動とミックスするアイデアがある、との記述がされている。名案と思う。給油も別に律儀にする必要はない。某国など駆逐艦に給油されるとすかさず港で転売、現金に換えるなどが実態と邪推する。こっちもちんたらやればいい。なお主務省の北沢大臣については、「難しいことを難しいとわかってくれる。よく話を聞いてくれるオジイサン」との評価があるとのことだ(週刊文春39号)。内局の意見なのかわからないが、ちょっと私と違う見方も紹介する。
いまNHKで放送しているのは、役目を終えた原子炉の解体についてだ。なぜ解体するのか私は理解できない。解体しても鋼材他は再利用不可能だ。誤って混入されれば台湾の二の舞だ。台湾では原因不明の病人が、実は原子炉関係の廃材を溶かした鉄製品の強力な放射能によるものと判明したことがある。解体は骨折り損のくたびれ儲けそのものだ。CLOSE AND FORGET ではないが、閉鎖してそのまま観光なり資料館にすべきだ。もっといいのは高レベル廃棄物の保管庫も近くに併設し核施設の功罪を次世代に教育することだ。
9月にDVDが出たのだが、私は遅ればせながら池袋・新文芸座で10日ほど前に見た。硫黄島の米国編「父たちの星条旗」を見てイーストウッドの熟成度を感じていたが、やはりこの映画もいい。ロー・ハイドのフェーバーさんの部下だったイーストウッドがこんな視野の広い人物になろうとは。親子関係がやや類型的だが、考えさせられ、感じさせられる事が多い。無法松とすこしの共通点はないだろうか。LEGACY LOSTがキーワードと読んだ。Fordの組み立て工だった主人公がもつ同社の名車?グラン・トリノがもう一つの主役だ。日本車への複雑な感情も垣間見える。失われるレガシーと失われないレガシー。最後のシーンは高倉健さながらだが、主人公のにぎっていたジッポー、第一騎兵師団当時のものならピカピカすぎるのでは?
条約上の義務以外に、同盟を結んでいることが道徳的に正しいことと思わせることがアメリカの責務である。オバマ大統領へのノーベル平和賞は、そのことへの期待を含ませたものだろう。ブッシュ前政権は世界をグロティウス以前の無法状態に落としかねない態度をみせる事も再三あった。アフガン戦争がどう終結されるか、タリバンとの和解は可能か、オバマ大統領の腕の見せ所である。CIAがムジャヒディーンに対空ミサイルを供与していた歴史をもう一度記憶から引き出すことも有益かもしれない。鳩山首相がタリバンの再就職というおぼっちゃま的対策を語ったが、一時休戦への根回しなどいっそう高次元のむずかしい役割も米国が道義的に正しい存在に回帰するなら日本サイドとして考えるべきだろう。
このダムに治水効果がないと主張する人がいる。その根拠として石関貴史代議士に送付された政府答弁書がある。この点にかぎれば週刊朝日よりサンデー毎日(10月18日号)の方が詳しい。要するにカスリーン台風の降雨パターンで伊勢崎市・八斗島地点で測定すれば、洪水のピーク流量は八ッ場ダムがあってもなくても同じ、という内容だ。これで治水効果がないと結論するのは暴論だ。べつに今度襲来する巨大台風が過去とおなじパターンという保障はない。ピーク水量で仮に堤を越水したり、決壊させた場合、その後の水量で床下が床上に変わったり、人命が数千人余計に失われる可能性は十分だ。質問の内容を想像するとたまたま吾妻川で降雨が少なかったカスリーンの場合を知りつつその想定で回答を迫ったのではないか。もしそうなら真面目な質問といえない。用水面からもぜひ10日日経17面のコラム「大機小機」を読んでいただきたい。水は貴重な資源ということだ。

過去原稿:八ッ場ダムは完成すべきか
             :八ッ場ダムPART2
岡田外相の頑固さは定評どうりのようだ。米国への配慮が足らないといっても聞く耳はなかろう。彼はクリントンにも会ったし、あとはみずからの構想に邁進といったところだろう。それだけならともかく、北沢防衛相との相乗効果がまずい。彼は旧弊な社会主義者とみられてもしょうがない。対外的に最重要な外相と防衛相がそろって「あっち」の人なら内閣そのものが「あっち」の内閣と認識されてもしかたない。融通のきかない、誤解をおそれない人物とワルシャワ軍事同盟に郷愁を持っていかねないアナクロな人物。これは不吉な人選だ。おそらく防衛大臣の重さを意識しなかったむくいが早晩表面化するのではないか。
今月9日に鳩山総理は韓国を訪問する。これほどあぶなっかしい訪問はないと危惧する人も多かろう。なにせ変わった総理である。国連にいき、コペンハーゲンにいき、ファッションショーに出演である。激務のなか、常人には出演という発想がでてこない。自分は善意の人である、との意識が強くあり、だからその線を通せば物事はうまくいくとお思いなのか。所詮おぼっちゃま芸の酷評がふさわしいのか。首相は一言が国家の命運を暗転させる職である。この人の外国での「善意」の一言が大量の人命を失わせる契機とならないよう祈りたい。
書店にはない雑誌の「選択」10月号に重要な記事が掲載されている。米国で天然ガスの新しい採取方法が普及し輸入量が激変。したがって天然ガスの国際スポット価格が暴落している、との記事だ。数年前まで米国の輸入増加は既定のことと認識されていたから、開発計画がサハリン、豪州その他で目白押しだった。急にはストップできないから天然ガスの余剰感は相当期間続くだろう。消費国世界最大の日本の選択肢は当然ふえる。わたしは高炉による鉄の生産は、必須物資の粘結炭が一時トン300ドルを超えるなどいきづまる要素があるとおもっている。最大の理由は莫大な炭酸ガスの排出にあるのはいうまでもない。還元材として一酸化炭素から天然ガスに変換すべきだ。その場合多くの部分排出物は水となる。鉄鋼業界は革命的な技術開発に乗り出す絶好の機会だ。20%のコストダウンが可能になったら世界中の高炉は廃物になる。
だいぶ昔の話だが、国鉄総裁で労組対策に失敗し中間と末端の管理職に甚大な被害を与え自らはサンシャイン(池袋)に天下りした磯崎叡氏が鉄道問題に口をはさみ、朝日新聞のベテラン記者の筆誅にあった事がある。恥を知れ、という事だ。その伝でいうと、TVパネルを自社生産できなくしたテレビメーカーの出井氏は経営問題一般から身を引くべきかもしれない。オウム事件で拙劣きわまりない指揮をとった当時の警視総監井上氏はどうして故郷の地・山梨知事選に出馬(落選)する心境になったのか、理解不可能だ。むかし日露戦争で旅順要塞の203高地奪取などでとんでもない作戦をとった乃木司令部の伊知地参謀(大山巌将軍の甥)に児玉源太郎参謀次長が課したのは戦場掃除委員の職務だ。痛烈きわまりない皮肉だが、伊知地は耐えたばかりかその後の出世にも耐えたようだ。御子孫もいらっしゃるだろうからいうが、とんでもない作戦とは後世の後知恵もあろう。大口径の榴弾砲を大胆に前線で運用することは児玉がドイツ留学で得た実見の知識で乃木司令部では発想さえ不可能だったという理由もあろう。 本題にもどると、日本は適切な批判がすくなすぎだ。私のような弱小ブロッガーが細々とするより特に公職にいた井上幸彦氏には大マスコミが正々堂々の論陣を張るべきではないのか。
自民党政権が続いていたら議論さえなく、チンタラ工事がまかり通っていたであろうから、政権交替も悪くはない。この一連の議論で決定的に不足しているのは治水当局の意見だ。利根川と水系はちがうが荒川の氾濫を危惧して、日ごろPRしていた筈だが今回はでてこない。政治問題化しているからやむを得ない面もあるが。いま数字は出てこないが、八ッ場ダムは保水力で渡良瀬遊水地の数倍はあろう。台風の巨大化がたとえば現在発生している18号のように危惧されている。当初の治水専用ダムの構想では堤高が20メートル低かったようだが、それでいい。工期を厳格に定め、粛々と完成させる。民主党がメンツを捨ててそう決定しても信頼は増えこそしても減らないだろう。すぐに治水部門の忌憚ない意見を徴
して、公表することだ。

過去原稿:八ッ場ダムは完成すべきか

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