『芥川賞を取らなかった名作たち』佐伯一麦を読む

meisaku.jpg著者である佐伯一麦氏は電気工などをしながら小説修行を続けた人。仙台文学館での同名の連続講座を本にした。太宰治、北条民雄、木山捷平・小山清、洲之内徹、小沼丹、山川方夫、吉村昭、萩原葉子、森内敏雄、島田雅彦、干刈あがた、の12氏の芥川賞落選事情を解説している。太宰は苦労しらずの苦労みたさ、北条は重すぎ、木山は飄々とした人柄を漠然と記憶している。洲之内は絵画的な文章表現に特徴があった。朝日の天声人語も時折、ブリューゲルの名画を日本語の文章にしたといっても決して褒めすぎでない美しさがある。ともに素養のある人であろう。選者の評価で面白いのは森内の「幼き者は驢馬に乗って」の芥川賞ならぬ文学界新人賞での安岡章太郎の選評だ。安岡氏の稟質がここにも顕われている。面白い発想の本なので文学好きの方にお薦めしたい。

『芥川賞を取らなかった名作たち』
内容紹介
太宰治、吉村昭、島田雅彦、干刈あがた......彼らはなぜ芥川賞を取れなかったのか。「私小説を生きる作家」として、良質な文学を世に問い続ける著者が、当時の選評を振り返りつつ、敬愛する名作たちの魅力を語りつくす。芥川賞落選史にみる、もうひとつの文学史。

内容(「BOOK」データベースより)
第一回芥川賞選評で、「生活の乱れ」を指摘された太宰治。受賞の連絡を受け、到着した会場で落選を知らされた吉村昭。実名モデル小説を「興味本位で不純」と評された萩原葉子...。「私小説を生きる作家」として良質な文学を世に問い続ける著者が、芥川賞を逃した名作について、その魅力を解き明かす。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
佐伯 一麦
1959年宮城県生まれ。仙台一高卒。上京し、週刊誌記者などを経て電気工として働きながら執筆活動を続け、84年『木を接ぐ』で海燕新人文学賞受賞。『ショート・サーキット』(野間文芸新人賞)、『ア・ルース・ボーイ』(三島由紀夫賞)、『遠き山に日は落ちて』(木山捷平文学賞)、『鉄塔家族』(大佛次郎賞)、『ノルゲ』(野間文芸賞)ほか著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


          

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このページは、Makoto Hiroseが2009年4月26日 14:44に書いたブログ記事です。

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