週刊新潮の12月11日号に開戦通告の遅延が日本大使館の怠慢か、という記事がある。くりかえされた議論だが、今回は当時の大使館にいた井口氏のご子息の研究書が新しいネタである。
私はハル・ノートが実質的な宣戦布告文であり、皆さんが考えているほどこのことが重要かは疑わしいと思っている。ベトナム戦争のころ知人となったF4ファントム機の機長にも非難されたので、「一体おたくの国はいつ北ベトナムに宣戦布告したのか」と反論したら、口をあんぐりして答えがなかった。中学生程度の歴史知識がアメリカ人の平均だろう。しかし米国のある世代は、ビアードのイェールからでた「ルーズベルト大統領と1941年戦争の開始」や日本の錦政社から訳書がでた「パールハーバー」などを読んで、米国にもすこしは非があるということを暗黙の常識としてもっていた。健在なら80代の主として共和党びいきの方々である。ビアードの本は100ドルくらいで古本が買える。『真珠湾』と題された後者の本は圧巻である。またルーズベルトが画策した開戦前の対日爆撃計画の詳細は日経新聞出版からつい最近出た『幻の日本爆撃計画』を読むとわかる。インディアンを討伐したジャクソンがいまだ英雄なのだから日本人をインディアンと考えれば、ルーズベルトのとてつもない対日憎悪も少しは理解できる。
なお最初の話題に戻るが、故エマーソン公使の『嵐のなかの外交官』を読むと、駐米日本大使館の怠慢ぶりは国務省でも有名な事実だった、とのことだ。
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